鉄路を駆ける日々

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【ダイヤ改正2019】中央線特急改革考〜速くて快適な特急で高速バスを迎え撃つ

既報の通り、2019年春のダイヤ改正をもって中央東線特急が全て新型のE353系に統一*1されると共に、”新着席サービス”の導入により全席指定化されます。果たして利便性は向上するのでしょうか?

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運行頻度〜小駅は犠牲に

新宿〜松本間は18往復、新宿〜甲府間は30往復で現状維持*2となり、これに河口湖行き「富士回遊」が2往復加わります。ライナー系は現在下り8本(うち青梅3)、上り3本(うち青梅1)なのが下り1本削減(正確には青梅が-2本、代わりに八王子が+1本)されます。ライナーの値上げによる乗客減を見越した減便がなされるようです。

全体の本数こそ変わらないものの、速達化のため東京や甲府近郊を中心に停車駅が整理されます。

停車本数が減る駅をまとめました。

<停車本数(下り基準)>

  • 三鷹:-11(11→廃止)
  • 石和温泉:-5(17→12)
  • 塩山・山梨市:-4(16→12)
  • 下諏訪:-4(7→3)
  • 富士見:-3(5→2)
  • 韮崎:-2(9→7)
  • 四ツ谷:-1(1→廃止)
  • 上諏訪:-1(18→17)

まず、東京周辺の四ツ谷・三鷹への停車が廃止されます。そして、全ての「あずさ」が大月〜甲府間で無停車になるのをはじめとして、小規模駅への停車が減ります。このほか、これまでは全列車が停まっていた上諏訪を通過する列車が登場します。その最速達列車は立川には止まらないので、立川への全列車停車は実現していません。

新設の「富士回遊」にスジを取られた「ホリデー快速富士山」は廃止されそうな一方、準定期列車の「はまかいじ」のスジは残っている可能性があります。下りに続行している「あずさ7号」が甲府止まりになったことで、むしろ「はまかいじ」スジの役割は大きくなるのかもしれません。まあ新指定席サービスと矛盾する状態での運行継続の望みはあまり大きくありませんが…「ホリデー快速ビューやまなし」もまだ運行できそうです。

 

速達性〜主要駅間でちょっぴりスピードアップ

空気傾斜機構を持つE353系への統一と停車駅の整理により、全列車で平均6分*3の短縮が実現します。最速達列車は2分短縮され2時間23分運転となりますが、上諏訪は通過になります。

特筆すべきは、上り朝一番の「あずさ2号」。中央快速線のラッシュにかかること、山梨県内でもこまめに乗客を拾うことから松本から新宿まで途中15駅も停車して3時間以上かかる鈍足列車だったものが、空気傾斜の使用や停車駅削減、快速列車のダイヤ調整により甲府以東だけで15分もの大幅スピードアップを成し遂げました。甲府〜八王子間はノンストップとなるので、1つ前の「かいじ2号」がその代替となります。ただし、今回到着時刻の繰り上げは無く松本出発が17分遅れるだけです。始発の大糸線からの接続が改善されそうです。

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価格〜近距離は値上げ、遠距離は値下げ

“新着席サービス"の導入により自由席が廃止となるものの、検札コストの削減を反映して基本的に値下げ傾向となります。甲府以西*4を利用する場合は今の自由席よりも安くなり、それ以外でも自由席と大差ない価格で着席が保証されます。

その一方、自由席の廃止により新宿〜八王子のような50km以内の区間で大幅値上げとなることは早くから注目されてきました。これまで特急自由席、ライナーともに510円で利用できたものが一気に750円*5まで値上がりしてしまいます。中央線利用者の着席へのハードルは大きく上がってしまうものの、現行のライナーが早くに満席になっているものが直前でも買えるようになるかもしれないし、ビューカードがなくてもチケットレス購入できるようになるので、完全に改悪というわけではありません。いずれにせよ、(ほぼ)ワンコインで気軽にE353系に試乗できるのは今のうちだけなので、一度乗っておきたい方はお早目にどうぞ。

指定席化に合わせて、甲府・松本の金券ショップの定番商品となっている「あずさ回数券」をはじめとして自由席利用の回数券は全廃されます。「あずさ回数券」についてはえきねっとトクだ値で同等の割引が受けられるので、ネット予約誘導の流れの中ある程度は仕方がないと思いますが、とばっちりを食らう形で(?)信州特急料金回数券まで廃止されてしまいました。これにより、「あずさ」はともかくとして長野〜松本間の「ワイドビューしなの」が実質大幅値上げとなる*6ため、クルマや高速バスへの逸走が懸念されます。この回数券で上諏訪〜松本といった短距離利用を促せば、長距離利用を犠牲にせず途中で空いた席を再び有効活用できるので、わざわざ廃止にする必要はなかったと思いますが…

(1/11追記)代替として「ワイドビューしなの」部分をカバーする「信州しなの料金回数券」が発売されるようです。塩尻〜長野間では現行の値段が維持されますが、乗継利用は禁止されます。

現在発売中の「えきねっとトクだ値」は、早割タイプの「お先にトクだ値」が新たに設定されます。ただ、東日本管内の他の区間を見ると「お先に〜」の割引の上限は35〜40%であり、現行の「えきねっと〜」と一致しています。おそらく現行の「あずさ回数券」や「えきねっとトクだ値」と同等の割引を受けるためには2週間前の予約が必要になり、直前まで取れるものは10%〜15%割引限定となるのではないでしょうか。ここは改悪といえます。

 

快適性:新車導入で大幅アップ

前述の通り、今改正では従来E257系が使われていた列車も全て新型のE353系に統一されます。新型車両は常磐線用のE657系などと同様、シートピッチの拡大のみならず普通車への電源や枕が設置されるなど大幅なグレードアップがなされていて、文句なしに快適になったといえると思います。常磐線ではグリーン車の横4列化のため評判は今ひとつだったが、中央線は元々グリーン車も含めて横4列だったので問題はなさそうです。ただ、今回の置き換えで新たに空気傾斜による揺れが発生することとなります。人によってはこれを不快に感じることもあるかもしれませんが、振り子機構をフル活用してワイルドに傾斜していたE351系に比べれば遥かに快適ではないでしょうか。

 

気になる列車:「あずさ3号」の混雑はそのまま?

千葉から遥々南小谷まで5時間余りかけて走る「あずさ3号」は、運行距離最長であるとともに今のダイヤで最も混雑する列車です。その理由は主に

  1. 時間帯が良い
  2. 千葉発
  3. 塩山〜石和温泉への一番列車
  4. 大糸線直通

といったところでしょう。今回の改正を期に上りのように大糸線直通と千葉行きを分離したり、停車駅を絞って前後の列車に誘導したりといったメスが入ることを期待しましたが、解消されたのは3番だけで、運行時刻まで据え置き*7でした。11連が12連に変更となるので一見定員が増えそうに見えるものの、シートピッチ拡大やバリアフリー設備の増加によりむしろ定員は減っている*8ので意味がありません。これまでは自由席がどんなに満員でも指定席はそこそこ平和な環境が保たれて来ましたが、全車指定席化によって予約が取れなかった乗客が”座席未指定券”を持って全車両に散らばることとなり、混雑が分散されるものの指定席が取れても安泰とは言えなくなりそうです*9。当面はこれまで通り混雑が続きそうです…

 

余談:さよなら「8時ちょうどのあずさ2号」

往年の名曲「あずさ2号」は、新宿8時丁度発の下り松本行きを歌ったものだったが、翌年に付番方法の変更*10により失われてしまったのは有名な話です。長らくの間8時丁度の下り列車が「スーパーあずさ5号」のままですが、今回の改正で時刻はそのまま「あずさ5号」となります。

ところで、2016年の改正により上り「あずさ2号」の大月発車時刻が平日のみ8時丁度となったのが話題になりました。38年振りの復活となった「8時丁度のあずさ2号」ですが、今回の改正で大月は通過となり僅か2年で消滅となってしまいます…


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ご覧下さいましてありがとうございました。

*1:一部の臨時列車にはE257系も使われます

*2:金曜のみ運行の準定期「かいじ187号」は「はちおうじ5号」にスジを取られました

*3:新宿〜松本間

*4:自由席A特急料金>新指定席料金になっています

*5:チケットレスなら650円

*6:回数券510円→自由席1180円

*7:つまり塩山・山梨市・石和温泉の3駅を通過し、空気傾斜が使えるようになっても所要時間はそのままということです。かなりスジが寝てます

*8:E257系11連では678名、E353系12連では674名

*9:グリーンとは違って本来は座席確保の権利を買っているだけなので仕方がありません

*10:下りは奇数、上りは偶数に統一